摩訶般若波羅蜜経序品第一
六、ブッダ般若波羅蜜を習行すべきことをシャーリプトラに説く
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爾時是三千大千國土。皆成爲寶花遍[雨/復]地懸諸ヲ蓋。香樹花樹皆悉莊嚴。譬如花積世界普花佛國。妙コ菩薩。善住意菩薩。及餘大威神諸菩薩皆在彼住。 |
そのときこの三千大千国土は、みな変化して宝花となって、遍く地を覆い、絹織りの旗と天蓋をかけ、香樹・花樹でみな悉く荘厳した。譬えていえば花積世界・普花仏国のようなもので、そこには妙徳菩薩、善住意菩薩、及びその他の大威神の諸菩薩たちが住んでいるのである。 |
| 爾時佛知一切世界。 若天世界 若魔世界 若梵世界 若沙門婆羅門。 及天若犍闥婆人阿修羅等。 及諸菩薩摩訶薩紹尊位者。一切皆集。佛知眾會已集。 |
そのとき、仏は一切の世界の、 もしは天世界(四天王天・三十三天)、 もしくは魔世界(マーラ:夜摩天・兜率陀天・化楽天・他化自在天)、 もしくは梵世界(ブラフマローカ:初禅天)の、 もしくは沙門(シュラマナ:出家行者)・婆羅門(バラモン)及び天、 もしくはノ闥婆(ガンダルヴァ)、人、阿修羅(アスラ)等、 及び諸々の菩薩摩訶薩、尊位に継ぐ者たちすべてが、みな集まってくるのを知り、そして仏は衆会がすでに集ったのを知った。 |
| 佛告舍利弗。 菩薩摩訶薩欲以一切種智知一切法。當習行般若波羅蜜。 |
仏は舎利弗(シャーリプトラ)に次のように説いた。 「菩薩摩訶薩が一切種智(一切空なるがゆえに平等・無差別であることを知りながら現象の諸相の種別を見極める智慧、往生品第四に詳述す)によって一切の事物を知りたいと思うならば、まさに般若波羅蜜を習行すべきである」 |
| 舍利弗白佛言。 世尊。菩薩摩訶薩云何欲以一切種智知一切法。當習行般若波羅蜜。 |
舎利弗は仏に申し上げた。 「世尊よ。なぜ菩薩摩訶薩が一切種智によって一切の事物を知りたいと思うならば、まさに般若波羅蜜を習行すべきなのでしょうか」 |
| 佛告舍利弗。 菩薩摩訶薩以不住法住般若波羅蜜中。 |
仏は舎利弗に次のように説いた。 「菩薩摩訶薩は、留まらないという理法をもって般若波羅蜜の中に留まらなければならない。 |
| 以無所捨法應具足檀那波羅蜜。施者受者及財物不可得故。 | 捨てることのない理法をもって、まさに檀那波羅蜜(ダーナ:布施、〜の超越)を具足するべきである。施す者、受ける者及び財物は〈実体として〉認知することができないからである。 |
| 罪不罪不可得故。應具足尸羅波羅蜜。 | 罪・不罪は〈実体として〉認知することができないから、まさに尸羅波羅蜜(シーラ:持戒、〜の超越)を具足するべきである。 |
| 心不動故。應具足羼提波羅蜜。 | 心が動くことはないから、まさに羼提波羅蜜(クシャーンティ:忍辱、〜の超越)を具足するべきである。 |
| 身心精進不懈怠故。應具足毘梨耶波羅蜜。 | 身心の精進は怠ることがないから、まさに毘梨耶波羅蜜(ヴィーリャ:精進、〜の超越)を具足するべきである。 |
| 不亂不味故。應具足禪那波羅蜜。 | 行為が乱れることなく、愛着の味もないから、まさに禅那波羅蜜(ディヤーナ:三昧、〜の超越)を具足するべきである。 |
| 於一切法不著故。應具足般若波羅蜜。 |
一切の事物に執着することがないから、まさに般若波羅蜜を具足するべきである。(以上六波羅蜜、問乗品第十八に詳説す) |
| 菩薩摩訶薩以不住法住般若波羅蜜中。 | 菩薩摩訶薩は、留まらないという理法をもって般若波羅蜜の中に留まらなければならない。 |
| 不生故。應具足 四念處四正懃四如意足五根五力七覺分八聖道分。 |
生じたり〈滅したり〉することはないから、まさに具足するべきである、 『四つの観行・四つの正しい勤め・四つの神秘的の能力・〈覚りを得るための〉五能力・五つの能力・七つの覚りの要素・八つの正しい道』を、(以上三十七道品、広乗品第十九に詳説す) |
| 空三昧無相三昧無作三昧。四禪四無量心四無色定八背捨八勝處九次第定十一切處。 | 『〔空の三昧;目標のない三昧;作為のない三昧〕・四つの禅・四つの限りのない心・四つの姿かたちの無い三昧・八つの三昧による解脱・八つの卓越した解脱・九つの階梯の三昧・十一切処』を、(以上八種法) |
| 九相。脹相壞相血塗相膿爛相青相噉相散相骨相燒相。 | 九つの屍の観想『腫れる相・壊れる相・血にまみれていくる相・膿み爛れ腐る相・青く変化する相・〈鳥獣が〉喰らう相・散じる相・骨のみとなる相・焼かれ〈灰土に帰〉る相』を、 |
| 念佛念法念僧念戒念捨念天念入出息念死。 | 『ブッダを念ずる・ブッダの教えを念ずる・教団を念ずる・戒めを念ずる・捨を念ずる・天を念ずる・入出する息を念ずる・死を念ずる』を、(以上八念、広乗品第十九には十念を挙げる) |
| 十想。無常想苦想無我想食不淨想一切世間不可樂想死想不淨想斷想離欲想盡想。 | 十の観想『無常の想・苦の想・無我の想・食不浄の想・一切世間不可楽の想・死の想・不浄の想・断の想・離欲の想・尽の想』を、 |
| 十一智。法智比智他心智世智苦智集智滅智道智盡智無生智如實智。 | 十一の智『事物についての智・慣習についての智・他者の心についての智・世間についての智・苦難についての智・発生についての智・消滅についての智・道についての智・尽後についての智・無生についての智・如実についての智』を、(広乗品第十九に詳説す) |
| 三三昧。有覺有觀三昧無覺有觀三昧。無覺無觀三昧。 | 三つの三昧『覚りがあり観ずることがある三昧・覚りはなく観ずることがある三昧・覚りもなく観ずることもない三昧』を、(広乗品第十九に詳説す) |
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三根。未知欲知根知根知已根。 |
三つの〈煩悩の無い〉感覚『知る欲が未知である感覚・知る感覚・知り己った感覚』を。(広乗品第十九に詳説す) |
| 舍利弗。菩薩摩訶薩欲遍知佛十力四無所畏四無閡智。十八不共法大慈大悲。當習行般若波羅蜜。 | 舎利弗よ、菩薩摩訶薩は遍く仏の十力・四無所畏・四無複智・十八の〈仏以外には〉具わらない事物・大慈・大悲を知りたいと思うなら、まさに般若波羅蜜を習行するべきである。(広乗品第十九に詳説す) |
| 菩薩摩訶薩欲具足道慧。當習行般若波羅蜜。 | 菩薩摩訶薩は道慧(衆生を仏道に導く智慧)を具足したいならば、まさに般若波羅蜜を習行するべきである。 |
| 菩薩摩訶薩。欲以道慧具足道種慧。當習行般若波羅蜜。 | 菩薩摩訶薩は道慧によって道種慧(衆生を導くために道の種別を知る智慧)を具足したいならば、まさに般若波羅蜜を習行するべきである。 |
| 欲以道種慧具足一切智。當習行般若波羅蜜。 | 道種慧によって一切智(すべてを概括的に把握する智慧)を具足したいならば、まさに般若波羅蜜を習行するべきである。 |
| 欲以一切智具足一切種智。當習行般若波羅蜜。 | 一切智によって一切種智を具足したいならば、まさに般若波羅蜜を習行するべきである。 |
| 欲以一切種智斷煩惱習。當習行般若波羅蜜。 |
一切種智によって煩悩による習慣を断ち切りたいならば、まさに般若波羅蜜を習行するべきである。(以上四智) |
著作 アルキメデスの館