摩訶般若波羅蜜経序品第一
十一、般若波羅蜜を学ぶことの果報を説く
| 復次舍利弗。菩薩摩訶薩行般若波羅蜜布施時應如是分別。 如是布施得大果報。如是布施得生刹利大姓婆羅門大姓居士大家。如是布施得生四天王天處三十三天夜摩天兜率陀天化樂天他化自在天。因是布施得入初禪二禪三禪四禪無邊空處無邊識處無所有處非有想非無想處。因是布施得生八聖道分。因是布施能得須陀洹道乃至佛道。當學般若波羅蜜。 |
また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が般若波羅蜜行で布施するとき、まさに次のように理解すべきである。 このような布施は大果報を得ることになり、このような布施は刹利(クシャトリヤ:王族)の家系・婆羅門(ブラーフマナ:バラモン)の家系・在家信徒の大家に生まれることができ、このような布施は四天王天処・三十三天・夜摩天・兜率陀天・化楽天・他化自在天に生まれることができ、この布施によって入初禅・二禅・三禅・四禅・無辺空処・無辺識処・無所有処・非有想非無想処の地位を得、この布施によって八聖道分を生ずるを得、この布施によって須陀洹道あるいは仏道を成就したいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
| 復次舍利弗。菩薩摩訶薩行般若波羅蜜布施時。以慧方便力故。能具足檀那波羅蜜尸羅波羅蜜羼提波羅蜜毘梨耶波羅蜜禪那波羅蜜般若波羅蜜。 | また次に舎利弗。菩薩摩訶薩は般若波羅蜜行で布施するとき、智慧と方便の力によるために、檀那波羅蜜・尸羅波羅蜜・羼提波羅蜜・毘梨耶波羅蜜・禅那波羅蜜・般若波羅蜜を具足することができるのである」 |
| 舍利弗白佛言。 世尊。菩薩摩訶薩云何布施時。以慧方便力故。具足檀那波羅蜜乃至般若波羅蜜。 |
舎利弗が仏に申し上げた、 「世尊。菩薩摩訶薩は、どうして布施するとき、智慧と方便の力によるために、檀那波羅蜜あるいは般若波羅蜜を具足することができるのでしょうか」 |
| 佛告舍利弗。 施人受人財物不可得故。能具足檀那波羅蜜。 |
仏は舎利弗に次のように説いた。 「施す人・受ける人・財物は認知することができないから、檀那波羅蜜を具足することができるのである。 |
| 罪不罪不可得故。具足尸羅波羅蜜。 | 罪・不罪は認知することができないから、尸羅波羅蜜を具足することができるのである。 |
| 心不動故。具足羼提波羅蜜。 | 心が動じることがないから、羼提波羅蜜を具足することができるのである。 |
| 身心精進不懈怠故。具足毘梨耶波羅蜜。 | 身心の精進が懈怠することがないから、毘梨耶波羅蜜を具足することができるのである。 |
| 不亂不味故。具足禪那波羅蜜。 | 行為が乱れることなく、愛着の味もないから、禅那波羅蜜を具足することができるのである。 |
| 知一切法不可得故。具足般若波羅蜜。 | 一切の事物は認知することができないと知るから、般若波羅蜜を具足することができるのである。 |
| 復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲得過去未來現在諸佛功コ當學般若波羅蜜。 | また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が過去・未来・現在の諸々の仏の功徳を得たいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
| 復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲到有爲無爲法彼岸。當學般若波羅蜜。 | また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が因縁によって生滅変化するものと恒常的なものの対立を超越した境地に到りたいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
| 菩薩摩訶薩欲知過去未來現在諸法如法相無生際者。當學般若波羅蜜。 | 菩薩摩訶薩が過去・未来・現在の諸々の事物、あるがまま〈の諸々の事物〉のあり方が無生(空)であるという境地を得たいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
| 復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲在一切聲聞辟支佛前。 欲給侍諸佛。 欲爲諸佛內眷屬。 欲得大眷屬。 欲得菩薩眷屬。 欲淨報大施。 當學般若波羅蜜。 |
また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が一切の声聞・辟支仏よりも前に進んだ境地にありたいと思い、 諸々の仏に仕えようと思い、 諸々の仏の親族のためにと思い、 偉大な仏弟子になろうと思い、 菩薩の同族であろうと思い、 大きな布施に対し必ず報いようと思うなら、 まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
| 復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲不起慳心破戒心瞋恚心懈怠心亂心癡心者。當學般若波羅蜜。 | また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が物惜しみする心・仏のいましめをやぶる心・自分の考えに反するものに怒り恨む心・怠る心・乱れる心・おろかな心を起こすまいと思うなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
| 復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲使一切眾生立於布施福處持戒福處修定福處勸導福處。 欲令眾生立於財福法福者。 當學般若波羅蜜。 |
また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が一切の衆生を布施の〈果報として〉福あるところ・持戒の〈果報として〉福あるところ・禅定修行の〈果報として〉福あるところ・勧導の〈果報として〉福あるところに立たせようと思い、 衆生を財福・法福〈あるところ〉に立たせようと思うなら、 まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
| 復次舍利弗。菩薩摩訶薩得五眼當學般若波羅蜜。 | また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が五眼を得たいなら、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
| 何等五眼。 肉眼天眼慧眼法眼佛眼。菩薩摩訶薩欲以天眼見十方如恒河沙等國土中諸佛。欲以天耳聞十方諸佛所說法。欲知諸佛心當學般若波羅蜜。 |
五眼とはなにか。 肉眼・天眼・慧眼・法眼・仏眼である。 菩薩摩訶薩が天眼によって十方のガンジス川の沙ほどもある国土の中の諸々の仏を見たいと思い、 天耳によって十方の諸々の仏所説の法を聞きたいと思い、 諸々の仏の心を知りたいと思うなら、 まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
| 欲聞十方諸佛所說法。聞已乃至阿耨多羅三藐三菩提不忘者。當學般若波羅蜜。 | 十方の諸仏の説法を聞き、聞きおわって阿耨多羅三藐三菩提に至るまで忘れまいと思う者は、まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |
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復次舍利弗。菩薩摩訶薩欲見過去未來諸佛國土。及見現在十方諸佛國土。當學般若波羅蜜。 |
また次に舍利弗。菩薩摩訶薩が過去・未来の諸仏の国土を見、 及び現在の十方諸々の仏の国土を見たいなら、 まさに般若波羅蜜を学ぶべきである。 |