摩訶般若波羅蜜経往生品第四
五、菩薩摩訶薩の五眼による浄めを説く(一)
| 舍利弗。有菩薩摩訶薩行般若波羅蜜時。淨於五眼肉眼天眼慧眼法眼佛眼。 | 舎利弗、ある菩薩摩訶薩は、般若波羅蜜を行ずる時、五眼すなわち肉眼・天眼・慧眼・法眼・仏眼により浄めるのである」 |
舍利弗白佛言。 世尊。云何菩薩摩訶薩肉眼淨。 |
〈肉眼による浄め〉 舎利弗が仏に申し上げた。 「世尊。菩薩摩訶薩の肉眼による浄めとはどういうことをいうのでしょうか」 |
| 佛告舍利弗。 有菩薩肉眼見百由旬。 有菩薩肉眼見二百由旬。 有菩薩肉眼見一閻浮提。 有菩薩肉眼見二天下三天下四天下。 有菩薩肉眼見小千國土。 有菩薩肉眼見中千國土。 有菩薩肉眼見三千大千國土。 |
仏は舎利弗に次のように説いた。 「ある菩薩は肉眼によって百由旬(ヨジャーナ、帝王軍の一日の行軍距離)を見、 ある菩薩は肉眼によって二百由旬を見、 ある菩薩は肉眼によって一閻浮提(ジャンブ樹の生える+ドゥヴィーパ:大陸)を見、 ある菩薩は肉眼によって二天下・三天下・四天下を見、 ある菩薩は肉眼によって小千国土を見、 ある菩薩は肉眼によって中千国土を見、 ある菩薩は肉眼によって三千大千国土を見るのである。 |
| 舍利弗。是爲菩薩摩訶薩肉眼淨。 | 舎利弗、これを菩薩摩訶薩の肉眼による浄めというのである」 |
舍利弗白佛言。 世尊。云何菩薩摩訶薩天眼淨。 |
〈天眼による浄め〉 舎利弗が仏に申し上げた。 「世尊。菩薩摩訶薩の天眼による浄めとはどういうことをいうのでしょうか」 |
| 佛告舍利弗。 有菩薩摩訶薩天眼 見一切四天王天所見。 見三十三天夜摩天兜率陀天化樂天他化自在天所見。 見梵天王所見乃至阿迦尼吒天所見。 |
仏は舎利弗に次のように説いた。 「ある菩薩摩訶薩は、天眼によって 一切の四天王天の見る所を見、 三十三天・夜摩天・兜率陀天・化楽天・他化自在天の見る所を見、 梵天王の見る所あるいは阿迦尼吒天の見る所を見る。 |
| 菩薩天眼所見者。四天王天乃至阿迦尼吒天所不知不見。 | 菩薩が天眼で見る所とは、四天王天あるいは阿迦尼吒天が知ることなく、見ることのない所である。 |
| 舍利弗。是菩薩摩訶薩天眼。見十方如恒河沙等諸國土中。眾生死此生彼。 舍利弗。是名菩薩摩訶薩天眼淨。 |
舎利弗、この菩薩摩訶薩の天眼は、十方のガンジス川の沙ほどもある諸々の国土中に、衆生が此の世で死に彼の世に生まれるのを見る。 舎利弗、これを菩薩摩訶薩の天眼による浄めというのである」 |
舍利弗白佛言。 世尊。云何菩薩摩訶薩慧眼淨。 |
〈慧眼による浄め〉 舎利弗が仏に申し上げた。 「世尊。菩薩摩訶薩が慧眼による浄めとはどういうことをいうのでしょうか」 |
| 佛告舍利弗。 慧眼菩薩不作是念。 有法若有爲 若無爲。 若世間 若出世間。 若有漏 若無漏。 |
仏は舎利弗に次のように説いた。 「慧眼をもつ菩薩は次のような考えをおこさないのである。 もしは〈因縁(内因と外縁)によって生滅し〉恒常でない、 もしくは恒常である、 もしくは世俗の空間にある、 もしくは世俗を超越した、 もしくは煩悩のある、 もしくは煩悩のない事物があると。 |
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是慧眼菩薩。 |
この慧眼をもつ菩薩は、 また見たことのない事物はなく、 聞いたことのない事物もなく、 知らない事物もなく、 識らない事物もないのである。 舎利弗、これこそを菩薩摩訶薩の慧眼による浄めと名づけるのである」 |
著作 アルキメデスの館