宋本摩訶般若波羅蜜経出到品第二十一
二、ブッダ、大乗として出て到り留まるものはないことを説く(二)
| 若欲出無相法。為欲出內空乃至無法有法空。 | もしも姿かたちのない事物を出させようと欲するならば、内面の空さらに存在せず存在する事物の空を出させようと欲しているというのである。 |
| 何以故。 須菩提。內空性乃至無法有法空性。不出三界。亦不住薩婆若。 |
どうしてであろうか。 須菩提。内面の空の本性さらに存在せず存在する事物の空の本性は三界から出ない、また薩婆若に留まらない。 |
| 所以者何。 內空性內空性空。乃至無法有法空性。無法有法空性空故。 |
何がその理由であろうか。 内面の空の本性・内面の空の本性が空、さらに存在せず存在する事物の空の本性、存在せず存在する事物の空の本性が空であるからである。 |
| 若欲出無相法。為欲出四念處。 | もしも姿かたちのない事物を出させようと欲するならば、四つの観行を出させようと欲しているというのである。 |
| 何以故。 四念處性。不出三界。亦不住薩婆若。 |
どうしてであろうか。 四つの観行の本性は三界から出ない、また薩婆若に留まらない。 |
| 所以者何。 四念處性四念處性空。 |
何がその理由であろうか。 四つの観行の本性、四つの観行の本性が空である〈からである〉。 |
| 若欲出無相法。為欲出四正勤四如意足五根五力七覺分八聖道分。 | もしも姿かたちのない事物を出させようと欲するならば、四つの正しい勤め・四つの神秘的の能力・五つの善根・五つの能力・七つの覚りの要素・八つの正しい道を出させようと欲しているというのである。 |
| 何以故。 八聖道分性。不出三界。亦不住薩婆若。 |
どうしてであろうか。 八つの正しい道の本性は三界から出ない、また薩婆若に留まらない。 |
| 所以者何。 八聖道分性八聖道分性空故。乃至十八不共法亦如是。 |
何がその理由であろうか。 八つの正しい道の本性、八つの正しい道が空であり、さらに十八の〈仏以外には〉具わらない事物もまた同様である。 |
| 須菩提。若欲出無相法。為欲出阿羅漢生處。 | 須菩提。もしも姿かたちのない事物を出させようと欲するならば、 阿羅漢(アルハン、小乗仏教修行者の最高位)を生処から出させようと欲しているというのである。 |
| 為欲出辟支佛生處。 | 辟支仏(プラティエーカ・ブッダ、独力で悟りながら他人に説かない小乗の聖者)を生処から出させようと欲しているというのである。 |
| 為欲出多陀阿伽度阿羅呵三藐三佛陀生處。 | 多陀阿伽度(タターガタ、如来)・阿羅訶(アルハン、応供)・三藐三仏陀(サムャクサンブッダ、正徧智)を生処から出させようと欲しているというのである。 |
| 何以故。 阿羅漢性辟支佛性佛性。不出三界。亦不住薩婆若。 |
どうしてであろうか。 阿羅漢の本性・辟支仏の本性・仏の本性は三界から出ない、また薩婆若に留まらない。 |
| 所以者何。 阿羅漢性阿羅漢性空。辟支佛性辟支佛性空。佛性佛性空。 |
何がその理由であろうか。 阿羅漢の本性、阿羅漢の本性が空であり、辟支仏の本性、辟支仏の本性が空であり、仏の本性、仏の本性が空であるからである。 |
| 若欲出無相法。為欲出須陀洹果斯陀含果阿那含果阿羅漢果辟支佛道佛道一切種智。 | もしも姿かたちのない事物を出させようと欲するならば、須陀洹(スロータアーパンナ、小乗仏教修行の第一の階梯)果・斯陀含(サクリダーガーミー、小乗仏教修行の第二の階梯)果・阿那含(アナーガーミー、小乗仏教修行の第三の階梯)果・阿羅漢果・辟支仏道・仏道・一切種智(一切空なるがゆえに平等・無差別であることを知りながら現象の諸の姿かたちの種別を見極める智慧)を出させようと欲しているというのである。 |
| 何以故。 須陀洹果乃至一切種智性。不出三界。亦不住薩婆若。 |
どうしてであろうか。 須陀洹果さらに一切種智の本性は三界から出ない、また薩婆若に留まらない。 |
| 所以者何。 須陀洹果乃至一切種智。一切種智性空故。 |
何がその理由であろうか。 須陀洹果さらに一切種智、〈須陀洹果さらに〉一切種智の本性が空であるからである。 |
| 若欲出無相法。為欲出名字假名施設相但有言語。 | もしも姿かたちのない事物を出させようと欲するならば、名称・仮に設け施した名称の姿かたちが、ただの語言であることを出させようと欲しているというのである。 |
| 何以故。 名字不出三界。亦不住薩婆若。 |
どうしてであろうか。 名称は三界から出ない、また薩婆若に留まらない。 |
| 所以者何。 名字相名字相空故。乃至施設亦如是。 |
何がその理由であろうか。 名称の姿かたち、名称の姿かたちが空であるからであり、さらに設け施したたものもまた同じようである。 |
| 若欲出無相法。為欲出不生不滅不垢不淨無起無作法 | もしも姿かたちのない事物を出させようと欲するならば、生ぜず・滅しない事物、垢つかず・浄まらず・起きず・作されない事物を出させようと欲しているというのである。 |
| (以下底本) 何以故。 不生乃至無作法性。不出三界亦不住薩婆若。 |
どうしてであろうか。 生じない、さらに作されない事物の本性は三界から出ない、また薩婆若に留まらない。 |
| 所以者何。 不生性乃至無作性性空故。 |
何がその理由であろうか。 生じないことの本性さらに作されないことの本性の本性が空であるからである。 |
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須菩提。以是因緣故。摩訶衍從三界中出。至薩婆若中。住不動故。 |
須菩提。この因縁によって、摩訶衍は三界の中から出て、薩婆若の中に留まるに到る。〈摩訶衍は〉動かないからである。 |
著作 アルキメデスの館